\n"; ?> メディア掲載情報 2012年8月号 第9話 ネタの神様

メディア掲載情報 2012年8月版 第9話

12.6.11

K内さんの参戦にも関わらず、結果を出せずに終わった前釣行。
加えて、ハードな仕事から不眠不休釣行のコンボで体力はすでに限界。


ネタの神様

帰宅後、友人Kからメールが届いた。 取材はどうなったん?なんじゃったら○○に行ってみる? と、参戦の連絡が。 夕マズメの時間帯。 しかしながら、心も体もまだ回復しきってなかったこと、友人Kの参戦で状況が変わったこと。 もう少しだけ休憩を取ることにした。 そして。 取材の時の恒例になりつつある、苦しい時の神頼み。 最強エギンガー杉原正浩名人のサインにニ拍三拝をするワシ。 しかしながら、Good Fishingの文字はあまり心に響くことなく、ま、そのうち獲れると思いますんで行ってきます。 みたいな軽い感じで友人Kを迎えに行ったのだった。 と言うのも、前回の取材のときとは状況が違っていたからだ。 前回、釣れる場所を探して放浪する旅は非常につらいことだった。 釣れるのかどうかも分からないにも関わらずそこに留まり、その場所に適応しているのかどうかも分からないメソッドが当たるまでやり続けないといけない不安。 比べれば、今回のポイントは過去の実績はあるもののメソッドが判明していないだけ。 今期も通ってみて、幾度となく誰かが釣ったり、魚信があったり。 (確実に釣れると分かっている)ひとつの場所に留まり、結果を出すまでの検証を重ねることはむしろ楽しいことだったし、近いうちに必ず出る、という確信も持っていた。 しかしながら迫る締め切りと、仕事がハードになったことで慢性的に足りない釣行時間の捻出をどうするか。 今晩出なければこのポイントに加えて、地元のとっておきポイントの紹介(と言うか切り売り)を視野に入れた計画の見直し。 否が応にもかかるプレッシャーやストレスは増してきていた。 そんなワシの愚痴を延々と聞いてくれた友人Kを乗せた車は現地に到着。 が・・・ 本命ポイントには先行者が。 検証を重ねてきたポイントに入ることが出来ない状況に、またこのパターンか。と失望したワシ。 車の中で思わず、最悪じゃ。死ねばいいのに。とか口走るワシにドン引きしながらも、大丈夫大丈夫。絶対釣れるって! と励ましながら、先に移動を開始する友人K。 先行者さんに挨拶し、情報を仕入れてくれた友人Kからの電話。 もう2つも出とるらしいで。今日は絶対出るわ(^^) せっかくの励ましの連絡にも関わらず、またこのパターンか。 先行者が一番いい時間帯にお持ち帰りして、余り物を追いかけるネタの神さま大活躍の・・・と頭にイヤな積み重ねが浮かび、テンションがだだ下がりしまくるワシ。 道具の準備をし、先行者さんに挨拶し、隣りに入れさせてもらう。 お話を聞いてみると、春イカを獲ったのは初めてじゃそうで、諦めかけていたときに出た貴重なイカだったそうだ。 心から嬉しそうに語り、見せて、とも言ってないのにこれなんです。 と、クーラーを開けてイカを見せてくれた。 いつもならありがたいくらいなのに、スレにスレまくっているワシは、一応愛想笑いは崩さないながらも、ハーソーデスカーな感じの気持ちしかもてずにいた。 本当に嬉しそうに、かつとても礼儀正しい先行者さんとありきたりな話をしながらシャクったが、イカは出ない。 しばらくして、私はそろそろ・・・と先行者さんは撤収。 よかったらここ、入ってください。 と、去って行った。 やっと入れたわ。でもなあ。もう残ってねえっぽいよな・・・ またネタの神様八面六臂のパターンっぽい・・・ もういいよ。ネタの神様いらねーよ。 これ以上ネタばっかり増えたら1万文字でも足りないじゃん・・・来るのは釣りの神様だけで充分だよ。 と思いつつ、フルキャストし着底を待つ。 シャロータイプだったので、ちょっと多めのカウントダウン。 そろそろカバーでゴリっとなるよな。と思いつつシャクると、根掛かりしたので、回収する。 が・・・ エギの背中に大きな咬み痕が! うお! ファーストフォールで当たっとったんかい! 完全フリーで油断しとったから全然気付かんかった。 と、そのタイミングで頭の中で声がした。 『今のネタか?ただの不注意じゃね?実力で獲れなかっただけでしょ。イカいるじゃ…』 「よし!イカがおる!!!」 頭の中のウザいことを言う声を無理やり遮断し、すぐさま同じようにフルキャスト。 今度は着水から着底まで丁寧にテンションを掛け、いつでも合わせれるように構える。 そしてほぼ着底かと思われるタイミングで違和感を感じると同時にシャクった瞬間、ガチ抱きと思われるムー!な反応が。 よし!乗った! が、ここで確実にフッキングさせ、走るまでの反応を出さないといずれエギを離されてバレてしまう。 オラァ!!!! 思いっきり大アワセを入れフッキング! 掛かったか? 重さは結構なもので、リールを巻けばじわじわ寄ってくる。 が、走らないのでまだ横抱きである可能性が高い。 オラ!今度こそ!! ガチフッキングを狙い、さっきよりも強力にシャクる。 が・・・ フツ…というイヤな感触と同時にテンションが完全に抜けてしまった。 アワセ切れだ・・・。 もうネタとかどうとかが頭に浮かぶことすらなく、体全体を占めていたのは諦観。 疑問も悔いも無く、ただひたすら何も考えることなくリールを巻いてラインを回収する。 そして回収し、ザラザラになったリーダーに触れた瞬間、また例の声が聞こえた。 カバーに当たろうが当たるまいが、毎投必ずリーダーのチェックをしてた昔のお前なら絶対獲ってたよな。 獲れないのは丁寧なエギングをしなくなったからじゃないのか? 昔のお前はどんな時でも失敗なんて気にせずに、思いついたことはなんでも実行してたよな。 進化しないのは、失敗を嫌がって挑戦しなくなったからじゃないのか? 昔のお前は釣れなくても、絶対人のせいになんてしなかったよな。 釣れないのも上達しないのも、本気でエギングやってないからじゃないのか? ・・・・・・・・・・・・。 声はしなくなった。辺りに聞こえるのは波の音だけ。 毎度おなじみのトラブル。降り注ぐネタの数々。 俺にこびりついているのはネタの神様だと思っていた。 さすがにもう勘弁してくれ、と思うことすら多々あった。 だがしかし。 それはネタの神様のフリをした、釣りの神様だったことに初めて気が付いた。 これでもか、というくらいに起こるネタの数々は、釣りの神様が弱点に気付かせ、釣りの喜びを、楽しさを教えるためにしてくれていたことだった。 ・・・・・・・。 ブログが無名だったころには全く気にする必要が無かった人様からの評価、羨望、期待。 人様を落胆させたくないが故、結果を出すことに取り憑かれて袋小路に追い込まれていたような逼迫感。 そんな苦しい過去から解放され、かつてないほどの清々しさで道具箱を見る俺。 そして。 よし。キミに決めた。 手に取ったのは、絶対獲りたい場面では絶対に使わないであろうものだった。 でも、ほんとはずっとこれをしてみたかった。 試してみたかったんだよな。 そこにはエギングを始めたころから相も変わらず、エギに向かって話しかけるちょっと可哀想なエギンガーの姿があった。 「よし!行ってこい!!!」 大きく振りかぶって、目一杯のフルキャスト!!!! ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました! 続きは7月5日発売のレジャーフィッシング8月号、巻末の「旬のフィールド愛媛」です。